投資信託を選択するときに、過去のトータルリターンや騰落率を参考にしますよね。
でもこれって投資信託の良いところだけ見て購入することになります。
自分の選択した投資信託のリスクを把握しないで購入すると、相場が良い時はいいのですが全体の相場が悪くなったときにどこまで下がるのかわからないので怖くて途中で手放してしまい、一番損なタイミングで投資から撤退することになります。
投資信託は長期投資が大前提。どんなに下落しても想定の範囲ならば不安になることなく、コツコツ買い続けることができるのです。
今日は投資信託のリスクを把握する指標「標準偏差」についてお話します。
Contents
投資信託初心者のための基本 投資におけるリスクとは?
投資においてリスクとは、値動きの振れ幅のことを言います。変動幅が大きいことをリスクが大きい、小さいことをリスクが小さいと言います。
そして投資信託でリスク(変動幅)を知るための指標が標準偏差です。
投資信託初心者のための基本 標準偏差とは?
標準偏差とは?
標準偏差とは、データの散らばり具合(ばらつき)を示したものです。
投資信託の場合は、標準偏差の数字が大きければ投資信託の基準価額のブレが大きいことになり、小さければ基準価額のブレが小さいことになります。
投資信託の標準偏差をどう考える?
例えば、過去5年間での平均騰落率が10%で、標準偏差が20%という投資信託の場合は、プラス側には10+20=30%、マイナス側には10-20=-10%ブレる可能性があり、この投資信託は-10%~+30%の間でブレる可能性があるということになります。
投資信託の標準偏差で確率をどう考えるか?
では先ほどの例の投資信託でいう-10%~30%の間に入る確率はどうなのかを説明します。これは1σという範囲になります。
下の図は、-1σ~+1σには68.26%(34.1%+34.1%)の確率で収まるというように見ることができます。
この確率を高いとみるか、低いと見るかは人それぞれかもしれませんが、自分のお金を預ける上では少し心配ですね。

出典:Wikipedia
普通はもう少し高い確率で見積もっておいたほうが良いので、2σで考えます。図を見ると-2σ~+2σの間に収まる確率は、13.6+34.1+34.1+13.6=95.44%になります。
95%以上の確率というとかなり安心して投資ができそうですよね。
2標準偏差(2σ)とは、1標準偏差(1σ)の値を単純に2倍にしたものなので、先ほどの標準偏差20%の場合は、20%×2で40%の振れ幅ということになります。
先ほどの例と同じで、過去5年間での平均騰落率が10%で、標準偏差が20%という投資信託の場合は2標準偏差で考えるとプラス側には10+40=50%、マイナス側には10-40=-30%ブレる可能性があり、この投資信託は-30%~+50%の間でブレる可能性が95.44%あるということになります。
投資信託の標準偏差1σ、2σの違い
今までの話をまとめると、過去5年間での平均騰落率が10%で、標準偏差が20%という投資信託の場合、
①1標準偏差(1σ) 68.26%の確率で
プラス側には10+20=30%、マイナス側には10-20=-10%ブレる可能性があり、この投資信託は-10%~+30%の間でブレる可能性があるということになります。もし100万円あると、90万円のなる可能性(-10万円の損失)と130万円(+30万円の利益)になる可能性が68.26%あるということになります。
①2標準偏差(2σ) 95.44%の確率で
プラス側には10+40=50%、マイナス側には10-40=-30%ブレる可能性があり、この投資信託は-30%~+50%の間でブレる可能性があるということになります。もし100万円あると、70万円のなる可能性(-30万円の損失)と150万円(+50万円の利益)になる可能性が95.44%あるということになります。
標準偏差が大きいと上にも下にもブレる可能性が大きくなるので、大きなブレが怖いという人は標準偏差の小さい投資信託を選べば、上へのブレも少なくなりますが、下へのブレも少なくなります。
標準偏差をどう使うか?
標準偏差は自分の許容できるリスクにあった投資信託を選ぶために使用します。下へのブレが大きくなるのが嫌ならば標準偏差の小さい投資信託を買う等の戦略を立てることができます。
あと、-30%まで下がる可能性があらかじめ理解できていれば、多少下がったとしても不安になることなくコツコツ安い時にはたくさん購入しながら、次の上昇相場を待つことができます。リスクを事前に知ることで、パニックにならなくて済むということです。
ぜひ、自分の選択した投資信託のリスクを標準偏差を用いて計算してみることをおすすめします。
ちなみに私はポートフォリオをつくるときに必ず標準偏差でどの程度動く可能性があるのか把握しながら作っています。ポートフォリオ作成にどう標準偏差を使うかはまた別途記事にしたいと思います。
まとめ
- 自分の選択した投資信託のリスクを知ることで暴落時にも慌てずコツコツ購入し続けることができます
- 自分の投資信託のリスクを知るには標準偏差を使って計算しましょう
- 標準偏差を使用するときには、高確率の2標準偏差(95.44%)を使いましょう